遺産の範囲を確定する

遺産の範囲と評価方法の確定、そして分割の準備

　遺産相続を進めるにあたって、まず行うべきは「相続の対象となる遺産の範囲の確定」です。
　被相続人（亡くなった方）が所有していた財産は、家族であってもすべてを把握しているとは限りません。そのため、通帳、契約書、登記簿、郵便物などの手がかりをもとに、財産の内容を一つひとつ調査していく必要があります。

遺産の評価とその重要性

　次に、相続人間で公平に遺産を分割するためには、各財産の「評価」を行う必要があります。現金や預貯金のように金額が明確なものは問題ありませんが、不動産や高価な動産（美術品、貴金属など）は、評価額によって分割のバランスが大きく左右されます。
　遺産分割における評価は、「実際の分割時点の時価による評価」が原則とされています。ただし、相続税の申告とは異なり、評価方法について法的な統一基準は設けられていません。
　たとえば土地の場合、相続税の評価では「路線価」や「倍率法」が用いられますが、これらは実勢価格よりも約3割程度低く算定される傾向があります。そのため、相続税評価額を基準に遺産分割を行うと、実際の市場価値に照らして不公平が生じる可能性があります。
　どの評価方法を採用するかは、相続人間の協議によって決定することになります。必要に応じて、不動産鑑定士など専門家の意見を取り入れることも有効です。

相続対象とならない財産

　なお、よく質問される点として、生命保険金や死亡退職金などがあります。これらは、契約により受取人が指定されているため、相続財産には含まれません。受取人が受け取るこれらの金銭は、受取人自身の固有財産とされ、遺産分割の対象外です。

　相続対象となる遺産が確定したら、その遺産を相続人らで分割することになります。では、どのように分割すればよいのでしょうか。

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